ゆうな

アルキメデスの大戦のゆうなのネタバレレビュー・内容・結末

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

6割菅田将暉目当てで、4割ストーリーが気になって(そのうちの3割は菅田将暉が天才数学者とかいう役だから笑)見に行ったんだけど、めっっっちゃ面白かった!
正直戦争ものは苦手なんだけど(だから冒頭けっこうきつかったんだけど)、他は全部会議だから見やすい。し、軽めのノリのとこもあるから更に見やすい。けれど色んなところで、戦争へ向かう人々の狂気というか、当時の人々の理解できない考え方を感じられる不気味。
とりあえず箇条書きで感想を。

・冒頭に大和沈没シーンを持ってくるのね!とびっくりした。これから起こるのが「大和建造を止めるための話」だと知った上で、「大和は作られ、撃沈される」という日本人ならほとんどが知っている事実を、映像付きで見せられる。これからどんな展開があれど、結局はここに繋がるんだと突きつけられる。つらい。
・大和の上で銃打ちまくってた日本兵たち。弾切れの時の「早く早く!」が、焦燥感をすごく感じた。怖いんだろうなって。やっぱり戦争は嫌だ。
・冒頭、撃ち落とされたアメリカ兵を、アメリカ航空機が回収するシーン。それを呆然として見つめる日本兵。日本兵は使い捨てだもんね...永遠のゼロとかでも感じたけど、切なすぎる、辛すぎる。

・一番最初の櫂くん登場シーンがお座敷なのはびっくりした。けど扇子飛ばしの遊びを計算して、見事な結果を出すシーンはかっこよすぎた。芸妓さんたちも、客が菅田将暉ならたとえ薄給でも嬉しいのでは笑笑
・どうしても主人公中心に見てしまうから、櫂くんにはあのままアメリカへ行って欲しかった。櫂くんにとっては、その方が幸せだと思うから。でも、日本はどうでもよくても、日本にはきょうこさんがいるもんね..。
・田中中尉、最初はよく櫂くんのこと睨んでて嫌いそうだし、その上櫂くんは急に少佐だしでそうした嫉妬?とかもあるだろうし、もしかしたらどこかで裏切ったりするんだろうか...と思ってたらめっちゃ懐いてた。このコンビめっちゃいい。しかし最後、結局大和の設計に手を貸した櫂くんのことをどう思ったんだろう...。
・長門の設計図を盗み見た後、どうやって返却したの?
・大里さんと会う頃、いつの間にか「我らの空母」とか「日本国の危機なんです!」みたいに、冒頭よりも愛国心?が増している気がする。

・というか、「最終決定会議までに間に合わせなければ!最終決定会議が早まった!」て、あほじゃない?あんなに莫大な予算を使って、そんなに海軍の行く末を決めるような会議を!ちゃんとした資料が整わない状況で始めるなよ!いや整っているつもりかもだけど、少なくとも山本勢はもっと時間が欲しいし、用意中の資料(櫂くんの計算)があるわけで!そりゃあいつまでも待ってたらいつまでも始められない場合もあるかもしれないけど!ここまで大事な会議なら待てよ!会議を早めるとか言語道断だよ!こんな奴らが海軍の頭脳とかもうダメ!!!

・櫂くんが計算しまくるとこ本当にかっこよすぎた。既存戦艦の建造費を割り出すところは、音楽も相まってすごくよかった。爽快感半端ない。
・と思ったら平山案そうくるか!敵を欺くにはまず味方からっていい言葉ですね!本心かどうか知らんけど!いやーたぬき!て衝撃を受けた。あんなにがんばった櫂くんの努力が水の泡。
・と思ったらまた二転三転。結局平山案はボツになる。櫂くんの説明を遮ろうとする戦艦主義の人(名前忘れた)を静止して、櫂くんの話を聞く平山さん。彼も技術者で、真実を求めているんだなって思った瞬間だった。てことは敵を欺くには...も本心なのかな。歴史を知る者からすると、戦艦を作ろうとしてる時点で大馬鹿者に見えてしまうけど。

・櫂くんと平山さんのシーンは、またまた衝撃だった。というか櫂くんもっと疑って?素直すぎない?平山さんの本心は知らんけど。
結局、自分で潰した計画を、自分の手で完成させてしまった。彼の中に、「日本の依代として大和は作られなければならない」という考えと、「巨大戦艦大和という美しいものが生み出された姿を見てみたい」という思い、両方があったってことかな。平山さんの、「君も一度、大和をその手で生み出しただろう」という台詞が印象的。だから、設計図のシーンで笑ってたのね。(今思い出したけど、設計図作成シーンで夕飯を持ってきてくれた田中中尉、頼むから味噌汁を乗せたお盆を持ったまま、設計図を除きこまないで!零れたらどうするの!ずっと不安だったよ!)

・山本さんと山本さんの上司(名前忘れた)の最後の会話もやばかった。山本さんが「真珠湾を」と言った瞬間、「お前かーーー!!!」て感じだった。
やっぱり当時の日本の軍部には狂人しかいない。戦争は避けられない、ていうのも分かるけど。そもそも国連脱退も満州国建国も間違いだったんだよ。

・最後の大和完成シーン、櫂くんのあの顔の意味はなんなのか。というか階級上がってた。調べたところによると、中佐かな?
まだ海軍にいたのかってびっくり。やっぱり、短い期間でもあれだけ深く海軍の深部と関われば、もう抜けられないのかな。大和建造とかいろいろ国家機密を知ったから他国へ行けないのかな。櫂くん自身の中に、今までとは違う軍人の自分が生まれたのかな。自分も深く関わった戦争を、大和を、見届けなければって思ったのかな。
この後、どうなったんだろう。戦士かな。生き残ったのかな。生き残ったとしても、東京裁判とかで裁かれてしまったのかな。櫂くんのその後がすごく気になる。
・そういえば、山本側の設計の人、影薄かったな...。櫂くんが「素人の俺が計算を完成させたらおもしろくないだろう」とか言ってたし、なにかあるかなーと思ったんだけど、特になにもないまま終わった。

でもとにかく、菅田将暉が軍服で帯刀してる姿とか数式を書きまくる姿がひたすらかっこよかった。
もう1回見たくなってしまった。最近見る映画、全部2回見たくなっちゃう笑。


追記!
Twitterで、冒頭の大和沈没シーンで田中少尉が乗ってたって聞いた...。最終的に櫂が大和建造の決定打というかキーマンになってしまった展開でそんなのってある?
大和は日本の依代だけど、ずっと一緒に走り回って頑張って多分あの後も側についててくれてた田中少尉が乗った途端「日本の依代の死」じゃなくて「親しい人の死」ってなるじゃん。大和に乗ってた3000名余りみんなが誰かにとっての親しい人だったから、それを捨て駒にするってしてしまった時点で、親しい人の死っていう運命を櫂も背負わなきゃだったのかなー。というか設計に加担した時点で3000名の死を背負うというか、戦争全てを背負ってしまった気もする。つらい。
ていうか田中少尉、あれから9年も経ってればもっと昇進してそうだし、そもそも櫂の側で働く人なら大和乗らないのでは?ていう予想にかけたい。


2回目見てきてしまって相変わらずめっちゃおもしろかった。アクションシーンがほとんどない(冒頭の悲惨なシーンしかない)のに、2回目も飽きずにあっという間の2時間ってすごいな。
菅田くんの軍服姿がかっこよすぎてそれ見てるだけでも価値あるけど笑
やばい、完全に菅田くん好きになっちゃった。これまでは普通に好きで気になってる俳優だけどこれもうファンだわ。

つーか1回目見た時忘れてた。最後のシーン、真珠湾から2ヶ月後って出てたのね。櫂中佐の死んだ目?が印象的。戦争は避けられないって知ってたけど、信頼してた?山本少将が先頭に立ったから、ショックだし不信感が生まれたのかな。
ゆうな

ゆうな