今年ベスト級で、「きっと、うまくいく」「PK」のラージクマール・ヒラーニ監督快心の一作。
実在するインドの有名俳優サンジャイ・ダットの半生を描いてて、薬物依存の恐ろしさ、男の友情、家族愛、メディアの欺瞞など盛りだくさんで見応え充分の159分だった。
前半の薬物依存パートでサンジュのやつれた顔が真に迫ってて、現在パートのちょっと肥えて老けた感じとの違いがあまりに自然でクリスチャン・ベイルみたく体型作りの追い込みだとしたらすごい。
役所ですっぽかすシーンは、あーこいつ人として終わってるなーってクッソむかついたけど、そこから依存症克服の凄絶な闘いがだんだん怖くなってくる。偉大な父親の重圧や恋人の喪失やらで、やめたいけどやめられない苦しみ。こんなサンジュを見捨てず奔走するカムレーシュの友情に泣ける。
ムンバイの同時多発テロから新たなパートに突入し、いったいサンジュはテロに関わってたのかどうかが彼とカムレーシュの証言のズレから浮き彫りになっていくサスペンスで、最後まで惹き込まれる展開が上手い。これほんとに実話なの?ってくらい映画的なお話だったね。
伝記モノの中に、やっぱりインド映画らしく歌とダンスのシーンが散りばめられてた。
ラストはご本人登場で、メディアに対する意趣返しをぶちまけてたね。