YukiSano

マンディ 地獄のロード・ウォリアーのYukiSanoのレビュー・感想・評価

3.8
スーパーカルト映画爆誕‼

もはや突っ込み所しかないアートハウス系バイオレンスホラー。大切な人を殺されたニコラス・ケイジが復讐する話。ほんとこれだけの物語なのに度肝抜かれる演出のオンパレードで口アングリ状態で二時間もってしまった。

前半の意味深な哲学描写から、いきなり怪物の姿をしたギャングが現れ謎の迷宮に引きずり込まれてからが本番。

ディビッド・リンチやニコラス・ウィンディング・レフンのようなゴアと美麗な映像美を司るアートホラーに転じていくと思いきや、ニコラス・ケイジが自分で武器を精製しだしてからはニコラスお得意ぶちギレ演技爆発のバイオレンス映画となる。

そして凄まじい低予算なのに、演技派が出まくっているので安っぽくならない。背景も衣装も美術も安いはずなのに、しっかり黙示録気分を味わえる。特に化け物にしか見えないギャング集団のメイクや衣装は素晴らしすぎる。日本の仮面ライダーもあんな敵を出したら良いと思う。彼らの衣装に一番金かけてそう。

もう説明不要の異様な世界観に浸り、故ヨハンヨハンソンの音楽に酔いしれてラリる映画。

B級映画を脱構築してアートな演出にするという「ドライヴ」や「ヒストリー・オブ・バイオレンス」「ビューティフル・デイ」などと同じ試みの中で最も異質なエネルギーに満ち溢れている。

それは主演がニコラス・ケイジだから。

他の人が演じていたら、この作品は色んな要素がバラバラになって空中分解したような内容になってたと思う。こんな役はニコラスか竹内力しかできないはず。

異常者だらけのこの作品の中でも一番の怪物がニコラス。それが答えだ。
YukiSano

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