みずいろ

岬の兄妹のみずいろのレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
2.9
良夫はもう自分の幸せのことなどとうに願わなくなっていて、死なずに日々をただ生きることだけ考えている。生活のため自閉症の妹の体を売り始めても、生きるという目的が叶っている以上、心の咎めを無視して悩まずに暮らしていける。汚い海でも泳げるし、マックでお腹はいっぱいになる。

だけど本当は、妹に子供を産ませてやりたい、結婚させてやりたい、幸せにしてやりたい、そしてやっぱり自分も普通に歩けたらいいなぁと願ってしまう。人間はどうしても今以上を夢見てしまう。それがやるせなくて胸が痛くなった。
泣きじゃくる兄に、まりこが貯金箱を差し出すシーンは、まりこの心の中を覗いてしまったようでハッとした。誰かを想って生きる人が、どうか不幸でありませんように。
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