岬の兄妹の作品情報・感想・評価

上映館(13館)

「岬の兄妹」に投稿された感想・評価

お

おの感想・評価

4.4
この重くのしかかる問題作を傑作と呼ばずしてなにを傑作と呼ぶのか。

モラルとか尊厳とかいう野暮な言葉を発せないほどに胸をえぐられた。
言葉にできる適切な表現が見当たらない。
ゆうま

ゆうまの感想・評価

3.5
観た後に達成感を得る映画。
もう少しまともな助けしてあげなよ。みたいなことを言いたくなる。
後からじわじわと良さが出てくる気がする
足の悪い兄貴が自閉症の妹に体を売らせてお金を得るというクソ話。

兄がまるでクソ。観ていて気分が悪くなる。

ただ、自分は体がどこも悪くなくふつうに働ける。養うべき家族もいない。

私が、自閉症の妹を抱えた上に、足が不自由だったとしたら・・・、って考えてしまう。

おそらくできる仕事は制限されるだろう。それでも自分だけだったらなんとかなるが、妹の面倒までみなくてはいけない。

もう人間の尊厳などと言ってられなくなる。生きるのに精一杯になるかも。

そこまで考えると、やっと兄貴の行動を単なるクソだと思えなくなる。

いやクソにはちがいないのだが・・・。

追い込まれた時の人間が描かれたこの作品、人にオススメするのは難しいが、ハッとさせられる作品だった。

このレビューはネタバレを含みます

最貧困女子を読んだりしていれば社会保障を受けることすら大変という人たちがいるというのはわかるのだろうけれども、念のためにどうして兄が役所に駆け込まない、もしくは駆け込めないのかとか、妹にどうして年金がおりていないのかといったことについては軽く触れておかないと、テーマのためだけにモチーフを扱ってしまっているような印象を与えかねないので、そのあたりはもう少しフォローが欲しかった。

警官の友人が説教するに止まるというのも、閉じ込められていた本能との対比や、現状社会のシステムというのが人間の力による柔軟な対処というものができなくなっており、ルールに則った処理しかできていないということの表現なのかなと思いはしたものの、やはり警官・友人という2つの属性が合わさってしまうと動きに不自然さを感じてしまうというのはあって。

ただ、そうした点を抜きにしても、倫理や快楽、幸福といった人を縛るあらゆるものについて考えさせらたし、あの妹の最後の姿と、それを壊れていると感じてしまった自分の浅はかさについてはこれからも折に触れて思い出すのだろうなあと。
kiiiii

kiiiiiの感想・評価

3.0

このレビューはネタバレを含みます

凄く、凄く力強い作品でした。

足が悪く普通に働けない兄。自閉症の妹。

家賃さえ払えず、電気も止まる始末。

妹の売春を斡旋する兄。

懐は潤って来たが、妹が妊娠する。



お腹の子を殺そうとする兄のシーンは…手に汗握った。
あのシーンは、「やらないでくれ、そこはさすがに人であってくれ、ダメだよお兄ちゃん…。」と祈りながら観ていた。
結果、やれなかったんだが、なんとも言えないギリギリの葛藤が描かれていて、凄まじいシーンだった。

この兄妹はこの生き方しか出来ないのかな…。
きっとこういう声無き声が、どこかにあるんだろうなぁ…。

貧困で食べる事にさえ困る中でも、生きていく為に手段を選ばなくなっていく…。
松浦祐也さんの芝居は凄くリアルで、凄く苦々しかった。

和田光沙さんのお芝居も圧倒的な役作りをされたんでしょう。
自閉症を患いながら、生きていく。生きていく中で、母を求め、愛を求め、生を求めていく様が痛々しく…なんとも言えない気持ちにさせられた。



誰も救われない。

この兄妹に、普通の幸せなんてもうなくて、
ただ、まだ生きている。

兄妹2人で。

そこには、何があるんだろう。

生きている。って事なんだろう。

しんどいけど、生きてる。
コメディ要素が強く残った。
目を逸らさなかった。
結構笑っちゃうな〜と思ったけど周りの人はどうだったんだろう。
生きるってすごいのになんであんな苦しいんだ。だから、すごいのかな。
生きるのに泥臭く、やり方はクソみたいでもガムシャラで。甘えてんのかな?逃げてんのかな?私にはまだ分からない。
うまく言えないけど他人の人生に善し悪しとかねーだろ。
時間が経てば考え方も変わるのかね。
でも、はじめくんのお前が悪いのは足じゃなくて頭だよっていうのは的確だったよね。笑っちゃった。
人間って快楽はくっきりはっきりあるから嫌だね。チクショーー
終わり方嫌だったな〜誰も終わり方に触れてない!見間違いじゃなければ突き落とされた気分。
海にあのまま落とされた気分だし、なんなら飛び込みたい気分だよ!
まりこ

まりこの感想・評価

3.8
R指定の映画、映画館では初めて見たかも。
描写が露骨なせいか、より重みが出る気がする。
そんなに長くない映画なはずなのに、内容が濃いせいかボリュームがあるように感じた。
それでいてテンポもよく、終わるまで目が離せなかった。

兄がクズ過ぎるんだけれども、それだけ生きるって大変なことなのかな…
追い込まれた人間が、もがけばもがくほど泥沼にはまっていく姿が見ていて苦しい気持ちになる。

最後の妹の微笑にぞわぞわした。

見て良かったと思う。
でも二度は辛くて見れないかな。
なかなかに壮絶だった。

この作品を褒めることも貶すこともしたくない。感想を口にしようとするなら、自分の抱えている偏見とか自覚できていない差別心みたいなものが漏れ出てしまう気がするから。

面白い韓国映画の共通点として「容赦のなさ」と「過剰さ」があるけど、この映画にもそれがあった。というか作ってる側が何も怖くないように見えた。近年こんなテーマの映画をシネコンで見た記憶がない。近い境遇の『そこのみにて光り輝く』とかはまだ希望があったけどそれもない。どこにもない。

この作品をどう受け止めるかは、この監督が次にどんな作品を作るかによって左右されてしまうのではないかな。大きな期待と不安がある。ただ露悪的なものを撮りたいだけの人ではないことを願う。

一個だけ疑問があるとすると、友人の警官は、なぜ生活保護をすすめなかったという点。そこは気になった。

見たことを後悔はしてないけど、人に薦めたいとも思わなかった。

リストラされて生活に困窮した兄が、知的障害を持つ妹に売春させる話。
meltdownko

meltdownkoの感想・評価

4.0
この映画を観た多くの人が「万引き家族」をリファレンスとしたはずで、貧困のためにいわゆる犯罪行為に手を染めるという表面上の共通点のほかに、これらの映画は善と悪の境界線をクエスチョンとしている点を共通項として持っているように思う。おそらく肇はその善性のために兄の行為を咎めたのであろう。もしその行為が行われなかったとしたら兄妹がどうなるかなど想像もせずに。ひとつの罪の裏に何があるのか想像せよ、この映画はそう訴えかけているように私には見えた。
この映画において行政の介入がないのは不自然ではないかという突っ込みは各所から入っているのだろうけれど、私は生活保護の申請などは文化的資本によるものだと考えているので彼ら自身がそれを行わないことにはさして違和感を覚えない。だけど、肇の職業を考えればそこに行政の救済という選択肢が発生しないのは不自然なのではないか。些細ではあるけれど端的な設定ミスであるように私には思える。
とはいえそのようなノイズがさして気にならない程には映像表現の熱量がある。花のように舞う手作りのチラシ、ワンカットで繰り広げられるセックスのジャンプカット(って呼んでいいのかわからないけど)など、時折もたらされる弛緩の中には見るべきカットが散りばめられているように思えた。少し気になったのは緊張と弛緩のコントロールが透けて見えてしまう点であったけれど、これも些細といえば些細な点に過ぎない。
最後のコールは誰によってもたらされたのか。私はそれが小人からであれば良いと思った。けれどこれを希望と呼んでいいのかどうか私は知らない。
andhyphen

andhyphenの感想・評価

4.0
頭をがつんと殴られた気分。長い映画でもないのに観終わったら疲弊しきっていた。
どこからどう見ても救いのない兄妹。所々のコミカルさが余計に殴られ感を増すというか、この兄妹を前にして私に何か言えることなんてあるんだろうか。何を言っても偽善者になってしまうのではないか。こうやってこの映画を映画館で観ていること自体に恐ろしい程の葛藤を感じてしまうような作品であった。
多分理性的な、穏当な意見はいくらでも言える。言えるけど、絶対にそれが届かない何かがある。それをものすごく怖いと感じた。新聞記事やWeb記事を読むよりも生々しい。怖い。
余りの映像、演技の生々しさと、音楽の哀しい美しさ。生きることの滑稽さ。恐ろしさ。無情。
多くの人に観てほしい。
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