「俺……足悪ぃからさ。」
知的障害者の妹・マリコと2人で暮らす自身も足に障害を持つヨシオは、リストラにより職を失いいよいよ家賃も電気代も払えないほど困窮してしまう。
そして、良心の呵責に苦しみながらも自分の妹を売春させるビジネスを始めるのだった……
「さがす」の片山慎三監督のデビュー作。
公開当時話題になったのを覚えていて、興味はありつつもあらすじだけでしんどくてなかなか観れてなかった作品。
予想はしてたけどやっぱり辛い映画だった……
89分と短いが、120分あったら完走出来たか分からない。
生活保護受けれないのかな?とか障害者支援は?とかつい考えてしまうが、そういった事を軽々しく言えるほど自分は彼らの人生を理解出来てるのだろうか?
警察官で幼なじみのハジメに「偽善者が!」とキレるシーンでハッとした。
嫌なシーンがとにかく多い作品だが、じゃあ登場人物全員悪人か?と言われるとそうとも言いきれないのも考えさせられる。
リストラした上司、金を貸すのを許さないハジメの妻、いじめっ子の後ろで(恐らく次のターゲットにならない為に)ただ見ている青年。。
本当の悪人も、本当の善人もなかなかいないのがこの世の常である。
また逆に、"仕事"をはじめたマリコの生き生きとした表情や、体を売った金で明るい部屋で楽しそうにマクドナルドを食べる兄弟、空を舞うピンクのビラなど、悲しいながらも楽しげなシーンも多く凄いバランス感覚の作品だと思った。
ラストシーンが冒頭と似てるのは彼らにとってこんな生活がこれからも続くという暗示だろうか?
テーマが重すぎるため何度も見たくなる作品では無いが、見る価値のある映画であることは間違いない。