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岬の兄妹の犬のレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
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胸が痛くなり目を背けたくなるような重くて悲惨な内容かと思ったら、耐性がある人からしたらそっちはそれほどキツくなく、むしろ緊張と緩和的な感じから生まれる笑いが多くて深みのある究極の喜劇に思えた。生きるために自閉症の妹に売春をさせるなんて聞いただけで強烈な題材なのに、実際この映画はどこまでも美しく愛に満ち溢れているだなんて観た人にしか分からない凄さがある。セックスの相手が変わっていくカメラワークや港町の空、マック爆食いからの段ボール剥がしなど役者や台詞回しはもちろんのこと、繊細ながら大胆な映像演出も見事。トークショーで監督が「本当に良い映画は1〜2週間なんかでは撮れない」と言っていた。仰る通りで「面白い映画」と「良い映画」は違うからね。平成最後に観るインディペンデントの意欲作に胸倉を掴まれればいい。
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