衝撃作。
足の悪い兄と自閉症の妹。
生きるために、行った”売春”。
あのポン・ジュノ監督に”傑作”と言わしめた、片山監督の処女作です。
なんとも言えない、怪作！人に勧めづらい内容なんですが、観てほしい。
一つ一つの描写に無駄がなく、”必死”なんですよね。
共感できるわけもなく、むしろ何度も兄貴をひっぱたいてやりたいんですが、彼も彼なりに、もがき苦しんでいるわけで、真理子もまた、飄々と生きていると思えながらも、ともに生きる兄への愛が確かにそこにあるわけで。。
「貧困」「性犯罪」「障がい」「差別」など難しい問題を題材にしながらも、その重さだけに目を向けるのではなく、むしろユーモアラスに描かれているのが驚きでした。
だって、真理子の一つ一つの偽りのない言動や、必死さからくる兄貴の行動が、何かの演出というのを超えたリアルがあって、笑っていいものではないのですが、笑ってしまうんですよね。傍から見たら、絶対バカなんですが、「ふるえながら、生きていく」瞬間が確かにあって、そういった姿に人の心は動かされるんじゃないかって。
「弱者」「底辺」をそのまま描いているので、決して観ていて気持ちがいいものではないです。むしろ、”汚れた”世界を描いているのですが、最後はなんだか二人の兄妹に”美しさ”を感じさせる映画だと思いました。
本当に”イカれた”映画だと思います。「へ？」って思うようなラストですが、自分は良い終わり方だったなぁと思いました。
