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彼女はひとりのレクのレビュー・感想・評価

彼女はひとり(2018年製作の映画)
3.3
他者に向けられた身勝手な悪意が広がっていく恐ろしさ。
死に損ねた女の子が同級生を強請る理由が徐々に明かされていく復讐ミステリとでも言うべきか。

人間の心の闇を表面化するスリラー性、前半の意味不明な言動が後半になるにつれて組立てられていく感覚は黒沢清が褒めてたのも頷ける。
ちなみに、コメントも寄せた黒沢清の監督作品を担当してきた撮影監督が参加しているとのこと。

自分が存在する意味、存在しているという実感。
ラストにタイトルのすべてが集約されているわけだが。
自殺騒動、教師と生徒の恋愛、男女のいざこざ。
学生が主体のダークな青春映画の側でありながら、学園ドラマ的なその若さを感じさせない強度は確かにある。
が、その反面、若さ故の…という危うさをグレーゾーンで描いているような気もする。

とはいえ、監督の中川奈月さんが大学院の卒業制作で撮った映画という点を鑑みて、今後に期待したい監督のひとりではある。
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