彼女はひとりの作品情報・感想・評価

彼女はひとり2018年製作の映画)

上映日:2020年11月29日

製作国:

上映時間:60分

3.8

「彼女はひとり」に投稿された感想・評価

新鋭・中川奈月監督の中編『彼女はひとり』。

手堅い語りと、歪に他者との関係を構築(破壊)していく福永朱梨の意地らしさで面白く観た。

さらりと霊が出る映画はいい。決定的シーン、学校廊下の照明が刺さった。
千葉

千葉の感想・評価

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嫌い、で断絶しない世界にしびれた〜
すくってあげられなくてごめんねって言えない

このレビューはネタバレを含みます

自主制作はモリモリのエナジーだけがあって金も時間もない。大体は「このワンカットは絶対に見せたい!この画をやりたくてこの映画を撮りました!」って考え方で作ってしまいそうなものだけれど、それ以上に今作は脚本が抜群に素晴らしい。風呂敷を広げていくタイミングも良くてストーリーテリング力が炸裂してる。グングン見せていくパワー。そしてなによりセリフがめちゃくちゃ良い。「このセリフ、紙の上で出そうと思ったら相当上手くないと出ないな」って言葉がたくさんあった。

そんでもってお化けがとにかく怖い。お化けをバストで長々と見せるのは中々勇気のいる映画作法。どう見ても生きてるけど、なのに「もうこの世にはいない存在」だと提示できる強さもある。そして霊体の感知に共犯性を持たせるこの辺の霊体に関するバランス、中川さんは本気ホラー映画を撮れば余裕で世界一怖い映画を撮れます。断言できます。そこにいる事の怖さを描くうまさ、絶妙。
邦画ホラーは興行ばかり気にして評価は二の次のくだらない脱糞映画を才能の枯れた奴らがぶりぶりトレインスポッティングのトイレにひり出してんだから、そろそろテコ入れする頃合いでしょうよ。なにをしてんの?こういう才能の塊にさっさと商業撮らせるべきでしょ。そういうことしてっから日本映画はつまんないってレッテル貼られんだよ。


ただ、ラストシーンがなんかね。父の過去を一件落着させた後、主人公はタイトルの回収と共に今思うやるべき事をするわけなんだけれども、そうなった場合、かつてなぜ幼馴染みが死んだのかの部分が放棄されていて、となると過去と同じ運命を辿るべき人物がもう1人いるんだよね。

それは明らかに元カノなんだけれど、別れを切り出されて、それでも嫌いになれず友達に戻って欲しいって勇気を出したわけで。彼女にとっては主人公にメールを送ってくるくらい嬉しい出来事だったわけよ。なのに、その一連の出来事が全部嘘だったことがわかる写真が流出して、自分は蚊帳の外だったってことに気付くんだよね。ただ、終幕に向かうに連れてフォーカスはそこに当たっていかなかった。個人的にはそこにフォーカスが当たって、そんでそいつに飛び降り自殺して欲しかったかな、と。
また同じ過ちを繰り返して欲しかったというか。

僕が性善説ライクなハッピーエンドが苦手ってだけなのだけれど、たとえばハンゴンジュのラストシーンのような陰鬱さ、その陰鬱さが第三者の死により、主人公たちの大いなるミスを浮き彫りにするわけで。
元カノだけは巻き込まれただけで何も隠してないし悪いこともしていない。なのにそれが今回の色々に巻き込まれて死ぬ事によって、主人公、幼馴染み、先生の三人で展開されてた人間関係からの視点の移行がより嫌味になった気もするんだけれど、意図はそこじゃないんだろうな。そうなると彼女はふたりになっちゃうし。

セッションのラスト、ドラム合戦をする2人を見る冷めた観客の目線のような構図があれば、個人的にはガッツポーズなラストになってた。「なにを勝手にやってるの?」という。
ただ、多分、「なにを勝手にやってるの?」にはしたくなかったんだろうな。極私的な問題ほどどうでもよくなったりするんだけれど、そこのボリュームの調節が処女作という塩梅の難しさに比例しちゃうというか。そんなのは五作目以降になってようやくやれることだしね。

あと、エンドロールの字が映画史上一番薄い。
少女の過去に起きた嫉妬に対する復讐。
ちょっと1度観ただけでは、私の頭では理解できず。
もう一度観たい!
修了制作ながらこの完成度は濱口監督を彷彿する。少し既視感もあり。
死ねなかった少女の復讐が暴走する痛みを福永朱梨さんの暗い目が見事に表現していた。「本気のしるし」の恋愛脳みっちゃんとのギャップがすごい。
黒沢清作品も撮影の芹澤明子さんのカメラが安定してて教室のロングショットの不気味さや野外の俯瞰が巧み。
思春期って些細なことで死にたくなるけど(今も)この少女の境遇ではムリもない。どこかで自殺した知らない姉妹のように他人にとっては他所ごとでも本人にとっては現実で、何もなかったように記憶の中で薄れていく事は許されず彼女はひとりで戦っていた。あの親では愛情の欠如は当然で、傷付けることでしか生きれないのはたぶん必然(もうそれしか方法がない)。
誰にも愛されてない苦しさめちゃくちゃ分かる。
階段の使い方(上段にいる澄子、同じ場所に立とうとする後輩)や廊下の黄緑の照明も美しかった。
好き/嫌いの単純な方程式を壊すラストと幽霊の視線もいい。
好みかと言われると違うけど、才能に溢れてるのはたしか。もう少し周りの人物の奥行きが見たかったのでこれからにも期待。既存の他作品もまた観る機会あるといいな。
黒沢清、篠崎誠作品あまり観てないので影響については何も言えないが、それでも初期でこの出来はすごい。
黒沢清と篠崎誠の影響下にあり過ぎている。それでは実が伴わない。主演女優の暗く捻くれた眼とキャラクターは記憶に残ったが。
黒沢清さんのお弟子さんということで観劇しました。主演の女性は素晴らしかった。設定も話が好きになれなかったがそれよりも幽霊設定がうまく活かせていないことの方が気になって不完全燃焼になってしまった。(未採点とさせて頂きます)
全く予想外な話で、びっくりしました。
澄子の心の闇を感じさせる(昔の事件が元に)。
周りの人を傷付けているのが、嫌だなと思いながら、演者の演技に引き込まれる。
澄子役の。福永朱梨さんの場面ごとの表情が印象に残りました。
説明をしないで、匂わせる上手さがある中川奈月監督の演出が良かった。
この清さんぽさ、篠崎さんぽさからブレイクスルーするのか。
芦澤さんの撮影が見事、福永さんしか成立しないであろう熱量
オレオ

オレオの感想・評価

4.8
すごい。清い。

全然違うけど、「君が世界のはじまり」が全部ひっくり返ってるようだった。同じように感じた。
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