theocats

ディール・ブレイクのtheocatsのネタバレレビュー・内容・結末

ディール・ブレイク(2014年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

ネタバレ
多分マフィア出資の暴力組織肯定映画

アイスランド映画という点でまず珍しい。記憶にある限りではビョーク出演もの以来。

警察とマフィア癒着、その浄化粛清と再癒着といういわば無限ループの有様を、終局的にはマフィアを必要悪として収束させるという気の滅入るような映画。

新興東欧マフィアと癒着している警察内通者がウディ・アレン風の単なる弱弱しい人物であることに拍子抜け。癒着と言ってもマフィアに恐怖支配されている状態で対等とはとても言えない。

そこに特殊部隊落第で内務調査官として着任した腐敗浄化に燃える主役男子、東欧マフィア以前に一帯を牛耳っていた旧ボスの物語を絡ませ、二重三重の筋を織り込んだ複数視点劇としている。

映画そのものは最後まで緊張感維持で緩むことはなかった。マフィアとの一進一退の粛清劇はまずまず。弱弱しい内通者の卑怯な情報漏えいやトラップ落とし込みで死傷した2名の女子の場面には憤ったりもした。
しかし、新興マフィアを逮捕するために旧マフィアボスと主役調査官が取引する場面には、それでは新たな癒着関係を更新・構築するだけだろうとこちらが危惧してしまう。
案の定・・・・

目新しい点としてあの弱弱しい内通者が親友でもある主役の父親(元敏腕刑事)達に最後ぼこぼこにリンチされる場面。あくまで薄らとぼける卑怯者に懲罰を加えるにはそれしかなかったということなのかもしれないが、やっていることは暴力団と何ら変わらない。
そして、何より驚いたのは締めのラストに旧ボスが出所し、自分たちは社会の必要悪として存在し続けなければならないなどとと一人語りする場面。

詰まる所、本作はマフィア暴力組織肯定の映画だったという落ち。
これがマフィア出資でないとしたらそれこそ驚くが、マフィアと無関係な企業が出資してなおそんなストーリーを容認したのであれば、それだけアイスランドがどうにもならないほどマフィアに毒されている現状を訴求したかったのかもしれない。


総評二つ星


東欧マフィアボスも別のシンジケートから重大ミスの復讐で襲撃されけがを負う、またはそのリベンジに乗り込んだ際にも奥さんとお腹の中の子供を人質に取られすごすご引き下がるなど、マフィアも弱い人間的側面があることを印象付けている。これもまた「みなが弱い面を抱えながら生存しているんだよ」と暴力団さえ肯定する意図が感じ取れないわけではない。疑い出したらきりがないがね。

012008
theocats

theocats