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ハンナ・ギャズビーのナネットのoooのレビュー・感想・評価

4.5



「もうコメディはやらない。自虐ネタでキャリアを築いたけどもうやりたくない。すでに隅に追いやられている人が自虐をしたら謙遜にはならない。ただの屈辱。自分をけなしでもしないとしゃべらせてもらないなんて」。そうステージで打ち明けたギャズビーは、女性であるがゆえ、性的少数者であるがゆえに受けたひどい仕打ちや心ない言動、さまざまな葛藤、社会や男性への怒りをネタの中に散りばめ、気づけば静まり返っている観客席に「この場の緊張はあなたたちのものだ。私は笑いでこの緊張をほぐしてやったりはしない」と言い放つ。


「物語が回復を支える。私の話を怒りだけの話にしたくないから、一緒に私の物語を支えてほしい」


レズビアンである彼女は、1997年まで反同性愛法が存在したタスマニア州で育つ。『ナネット』はゲラゲラ笑えるというよりも、ギャズビーのむき出しの感情と言葉に圧倒される異色のパフォーマンス。
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