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mid90s ミッドナインティーズのpenのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

家の奥に兄の部屋があって入室を禁じられており、足を踏み入れて室内のものをいじると、身体の大きな兄に暴力を振るわれる。それでもスティーヴィーがまた部屋へ入ってしまうのは、その部屋の中にあるものへの憧れや、兄に負けたくないという気持ちがあるからなんだろうなと思った。一方で、通りの向こう側でスケボーを楽しむ少年達へ向ける眼差しにも憧れが籠っているように見える。部屋の向こう側や道路の向こう側にある憧れへ少年が徐々に近づいていこうとすることで受ける傷跡・失敗、育まれる関係性が印象的。

はやく大人、それも一人前の"男"になりたくて背伸びする少年たちの様子は、そうならなければ舐められる、といった意識に縛られているように見える。だから幸福感に包まれた思い出の日々というよりも、胸が疼くような感じがした。その意識に囚われている故に少年たちは反発しあったり、スティーヴィーは家族ともすれ違う気がして。しかし同時に、矛盾や対立を内側に抱え込みながらも、彼らの間には確かに友情が息づいていることが見ていて伝わってきた。レイとの会話、その後の衝突、そして病院での場面はこの映画の中でも特に大好きなシーンだ。

90年代の要素が詰め込まれてはいるけども、実感の籠った仲間たちの関係性を丁寧に描いていて、ノスタルジーだけで終わらせない作品で、大変良かった。
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