Joker

mid90s ミッドナインティーズのJokerのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

ネタ切れで正直しょうもない作品や無駄なリメイク作品など多い近年で、このような感情を映像や演技を通して限りなく伝えてくる作品が新人監督から出てきたことがまず嬉しかった。

映像、カメラワークから話しを始めると、固定カメラやシンメトリーなショットからは監督の鋭い感性を感じたし、登場人物の顔のクローズアップが多用されていた事によって登場人物の感情がより伝わってきた気がした。

ストーリーの方は
3つ上のガタイの良い兄がいた自分としては、何かある度に殴られて身体中アザだらけになっててめっちゃ腹立ったしムカついたけど、同時に年上の兄に対する憧れ(自分が持ってない良い物が部屋にあって見に行っちゃうあたりとか正に)もあって、描かれているのが小さい頃の自分の感情そのままで、観てて等身大に共感した。
スティービーが近くにいるレイやファックシットらのカッコいい年上集団に少し話せただけでその集団の一部になれた気がして嬉しくなったり、早く仲間に認められたくて自分の良いところ見せつけたかったりするところも当時の自分そのまんまで、スティービーの境遇や感じることが当時の自分と重なりすぎて昔の自分を見てるようだった(お酒とタバコはやってないけど!)

その他にも、スティービーがグループに入ってきて注目を浴びて自分のポジションを取られるかもしれいないルーベンの怒りと焦りや、レイが自分の憧れの人と絡んでることに対するファックシットの嫉妬心なども当時自分も感じたことのあることで、映画全体を通して少年たちが育ちながら感じる様々な感情や葛藤がありのままに表現されていると感じた。

少し残念だった所は終わり方と尺の長さで、個人的に突然映画が終わった感があった。最後の事故した後のシーンをもっと長くしたりなどして物語が終わりに徐々に向かっていく流れをもっと作って欲しかったと感じた。内容に強く共感した自分は85分という尺は良い意味で物足りなかったので、終盤のシーンもそうだけど、全体的にもっと物語を詰めても良かったのではと感じた(変に詰めると逆に退屈になってしまうので難しい話だけど)。


誰もが自分みたいに強く共感できる作品ではないけど、内容、映像、選曲もよく、映像や見せ方に美しさを感じるけど、ストーリーは変に美化されてなくありのままで、思春期のセンチメンタルな感情がよく捉えられている作品だった。

監督のセンスは確かで今後の作品がとても気になる。
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