これほど主人公に感情移入させない復讐映画もなかなか珍しい。
理屈じゃ理解しきれない「復讐」のファジーさ。
それを抱えた主人公を繊細に演じた、アイスリング・フランシオシさんは素晴らしかった。
「弱い者たちが夕暮れ、更に弱い者を叩く」、そしてそれに無自覚である地獄。
差別撲滅というタイムリーなテーマ性ではあるが、良く言えば誠実なまでに直球、悪く言えば捻りがない。
ということもあり敵側は非常にテンプレ。
あとグロテスク描写が目的化していた場面があり興醒め。
主人公が夜な夜な味わう「悪夢」の描写はなかなか良かった、最初のダンスが一番不気味。
段々と「一番可哀想」と思える人が変わっていくのも注目ポイントか。
最初は明らかに主人公だけど…あれあれあれ。
タスマニア旅行をした気分にはなれるかもしれない。