そら

ある画家の数奇な運命のそらのレビュー・感想・評価

ある画家の数奇な運命(2018年製作の映画)
3.9
"真実は全て美しい"


どんなに残酷な真実であっても、
そこには必ず美しさがあり、
それを見つけ表現するのが芸術家だということかな。

何が"真実"か分からない世の中で、
自分にとって確実に"真実"だと言えることは、
自分が見てきたもの、
体験したこと、
自分が生きてきた時間そのものしかない、
ということなのかな。


"我思う、故に我あり"


難しいテーマでしたが、
3時間という長さを忘れるほどに、
じっくりと引き込まれました。


少年時代のクルトは、
大好きな叔母さんが強制入院のため連行されていくツラい光景に、
手をかざしピントをずらずことで、
真実から目を逸らそうとした。

そんなクルトだったからこそ辿り着いた、
芸術の形。



以下ネタバレ。




無意識の中で、
偶然にも彼の芸術に、"真実"が引き寄せられていく展開に鳥肌が立った。

クルトが"真実"に気づいているのか、いないのかは読み取れなかったけど、
その作品を見た義父だけが、
ひとり罪の意識に苛まされることになる。


神の采配のような、無言の啓示。



"仮に適当な数字を6つ挙げても無意味。
でもロトの当選番号と一致するなら意味を持ち、真実味を帯びて美しくなる"



神の啓示のような、3者の融合。


それにより、
他人には無関係に見える3人の顔が意味を持ち、
真実味を帯びて美しい絵画になった。








追記

ナチス政権下のドイツで、安楽死政策(T4作戦)が行われていたことを、
この作品で初めて知った。

酷すぎて言葉がない。
今の時代がどれだけ幸せなのかを、
本気で噛み締める。


さらに、この作品のモデルになっている
ゲルハルト•リヒターについても全くの無知。

リヒターについて検索してみたら、
ちょうど作品展やってるみたいなので、
今度のオフに行ってみよう☺️
そら

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