モンティニーの狼男爵

7月22日のモンティニーの狼男爵のレビュー・感想・評価

7月22日(2018年製作の映画)
4.1
3月8日に公開を控える『ウトヤ島 7月22日』。単独犯、史上最多77人の死者を出したノルウェーの悪夢、72分間ノンストップワンカット、何かから逃げ惑うサマーキャンプに集った若者たちを描写した衝撃的な特報。
現段階で今年何よりも観たいと思っているこの作品が頭から離れない中、同じ題材を扱った本作、『7月22日』がNetflix限定で公開されてることを知った私、予習的な感じで...と、欲に負けて鑑賞。

2011年、ノルウェーの首都、オスロを襲った爆破テロ。都心は大混乱の中、犯人であるアンネシュはウトヤ島に向かう。労働党青年部の集会に集まっている約700人の子供たちを殺すために。

本作は、ウトヤ島で乱射テロに巻き込まれ、計5発の銃弾を受けつつ奇跡的に生き残った青年のその後とその家族、断固たる思想を持つ犯人と選任された弁護士、その後の裁判を交互に描き、テロリズムの凄惨さと移民問題に関する警鐘を映し出している。怖いのは、やり方は間違いなく賛成できない犯人の主張がたかが妄想と捉えられない点にある。飛躍し過ぎた思想ではあるかもしれないが、そう思う人間がこれから先現れたとしても何ら不思議ではないからだ。

『Roma』でもそうだが、正直、限定配信だからと舐めてた。考えれば、低予算だろうが、自主映画だろうが、短編だろうが、そんなこと関係無しに傑作は存在するから、限定配信だろうがその作品のクオリティには関係ない。もはや、そういう時代になったんだろう。

正直観ていて、堪らなく辛かった。前半の乱射シーンは緊迫感が止まらないし、犯人がなぜウトヤ島の罪も無い子供たちを標的に選んだかの理由が背筋も凍るし、、
中でも生き残った青年ビリヤルの戦いは胸を打つ。PTSDや外傷を背負いつつも、がむしゃらに叫び散らしながら、強くあろうと、テロなどに負けるかと懸命に生きる彼からは、平和ボケした私に人間本来の強さを感じさせた。

観ている最中何度も「これが史実に基づいてるのか」と半ば絶望に叩き落とされるようで大変だった。
本丸が公開されるまでにまだ時間があって良かった、直前に本作を観てたら見に行く気失せてたかもwww
それだけの重量感!是非!