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ROMA/ローマのayakaのネタバレレビュー・内容・結末

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

年間ベストを決めようかと考え始めた時期に、とてつもなく素晴らしい映画に出会ってしまった。否応無しに、この映画が私の年間ベスト、いや、ここ10年で最も素晴らしい映画の1つとなった。

監督は天国の口、終わりの楽園やゼロ・グラヴィティのアルフォンソ・キュアロン。今年の賞レースで撮影、監督、脚本を総なめにするのでは?と期待大である。

70年代のメキシコはローマに住む中流階級の一家と彼らのメイドの1年を描いた作品で、全てにおいてパーフェクトでとても美しく温かく、これぞまさしく映画の中の映画。

特にシネマトグラフィーは圧巻だ。
全編にわたってモノクロだが、絶妙な色加減でモノクロなのに色彩が鮮やかなのはもちろん、ワンカットが長回しかつ横に動くカメラワークはまるで自分も彼らを傍で見ている感覚になる。それに加え画面の奥行きが深く、ワンショット毎に切り取りたくなるような構図はまさしくアート。写真が好きな身としては、もうこれだけで大満足なのだ。

物語ももちろん素晴らしい。
人生に起こる予期せぬ出来事、喜びや悲しみ、裏切り。。。そしてもちろん笑いも、その全てが詰まっている。(Zovek先生の道場での「右向け右!」は一度は経験したことがあるのではないだろうか?私はここで笑いが止まらず。笑)
特に、クレオの病院でのシーンからの終盤は終わりと出発、生と死の対比が素晴らしく、海辺でのロングショットは映画史に残る最も美しいシーンなのではないだろうか。溺れかけた子供達を救った後のクレオの吐露は涙なしでは見れなかった。

淡々と過ぎていく日常がこんなにも暖かく愛おしい作品は久々に見たような気がする。圧巻のラストショットの後、空を飛ぶ航空機の音で余韻に浸りながら、暫くの間テレビの前から動けなかった。
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