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ROMA/ローマのJIZEのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
3.5
1970年代初頭のメキシコを舞台にある家政婦と彼女が仕える一家を見つめた作品。アルフォンソ・キュアロンの新作。中々の芸術寄りで高純度の感触。またAlexa65で撮影され解像度が高く黒の締まった映像や監督お得意の長回し,それに細やかで時にド迫力な音響の域に圧倒される。それにも増して映画的な語り口が古典的な体裁を維持しつつ緩急の引き締めかたが舌を巻きながら感動した。クレオに幸あれ。

最初は淡々としていて何の話か掴みづらかったが終盤のある出来事から物語が一気に動き出す一種の曰く付きな構造そのものに驚かされる。キュアロンが『ゼロ・グラビティ(2013年)』の後にこれを撮った事の意義を噛み締めれるぐらい振り幅がすごい。役者たちの自然な演技や被写体を少し奥に配置して情報量を適度にまぶす芳醇な画面設定などもお手の物だったのではないか。終盤の核を成す事件からエンドロールまでのシークエンスはとにかく圧巻です。
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