通りすがりの猫

ROMA/ローマの通りすがりの猫のレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
3.9
非常に学ぶべきことが多い映画だった。
この作品の印象的な部分と自分なりの解釈。
・BGMを用いない
→臨場感と脚色したくない(その時代をリアルに描きたい)というキュアロンの意思
・モノクロ
→今となっては色褪せた時代であることを表現
・カットバックを用いない
・ミディアムショットでのストーリー展開
→人物だけにフォーカスを当てるのではなく、人物とその時代との対比として描いている。激動の時代を舞台とするが、脚本的にはその時代性には触れず、しかし、その時代を生きたということを表現するために、非常に効果的な手法だったと感じられた。

この作品に限らず、舞台となる時代とその時代を生きる主人公の対比が色濃く感じられる作品が、現在は評価されていると再認識した。

印象に残ったシーン、演出
・主人公のクレアが病院に運ばれるも、雇主が何もその人のことを分からないシーン
・冒頭とラストのカメラワーク(地と天)の対比
・淡々と進んでいくクレアの死産
・クレアの退院後、表面的にはクレアのことを心配しているが、本気では心配していないように見える家族。その後、子供が助けられて、本音が出る母。