MinaMi

ROMA/ローマのMinaMiのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.0
打ち捨てられた人形、割られたままのガラス、タイヤに踏み潰される犬のフン。世の中のあらゆる弱い、取るに足らない存在に視線を向けて、淡々と事実として描いている。
台詞が少なく、BGMは無く、カメラの動きも静かなのが、じっくりと映像に向かい合う視点をくれる。
弱者として描きながらも女性や有色人種や子供の権利を声高に糾弾するような雰囲気はない。ただ、弱い者を温かく見つめる視線に何故か救われる思いがする。
女は孤独という台詞があるが、男が強いから女が苦しむというよりも、男の弱さが原因で弱い立場の人たちがもっと苦しむのだな、と思わせるようなシーンも。
映画的にも作法が整っていて、あるシーンでは突然の地震から赤ん坊に視点が移りそれから墓という動きをする。それは別のシーンのメタファーのよう。
始まりと終わりに飛んでいく飛行機も印象的。目まぐるしく動く世界のどこかで、今日も弱い人たちが生きているというメッセージに感じた。

・脚本 8/10
・演技 8/10
・演出 8/10
・音楽 -/-
総合点 23/30
MinaMi

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