RinaSuzuki

ROMA/ローマのRinaSuzukiのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.9
メキシコのリアルを描いている作品。監督の幼少期の記憶を家政婦の立場から再現することで、メキシコにおける社会問題、特に男尊女卑と先住民蔑視の現実を浮き彫りにしている。メキシコでは男尊女卑の考え方がいまだに強く、望まずして子供ができてしまった場合、多くの場合は「股を開いたお前が悪い」と全て女性のせいにされ、男性は責任を取ろうとしない。(もちろんそうでない人もいるが、そういう風潮がある) また、メキシコ人の中には先住民系の人を下に見ている人が一定数いて、その中でも先住民系の女性は特に見下されている現状がある。この作品で描かれているのは50年も前の出来事だが、今のメキシコの現状と大して変わらないように思う。途中出てくる学生デモも実際にメキシコで過去に起こった事件であり、政府の人間が対立する学生を殺すという事件はごく数年前にも起きている。この作品では、私がメキシコで見たこと、聞いたこと、知ったこと、経験したことがかなりリアルに描かれており、余計に感じることも多かった。ぜひ多くの人に見てもらいたい作品。

ちなみに、タイトルのローマというのはイタリアのローマではなく、メキシコの首都メキシコシティにある富裕層が住む地区の名前。監督が住んでいたのもおそらくここ。ROMA。逆から読むとAMOR(スペイン語で愛という意味)になるのでこのタイトルにしたのではないかと思う。
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