ジャックシューチャー

ROMA/ローマのジャックシューチャーのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
3.5
1970年代のメキシコ、とある中流階級の家族のもとで働く家政婦の視点から、その家族と彼女の日常を淡々と描いているだけの映画です。全編に渡って特に派手な事が起こるわけでもない。
カメラもほとんど動かず、定点カメラがゆっくり回っているような映像がずっと続きます。
映画というより記録映像を観ているような感覚に近いかもしれません。

それでもこの映画にエンタメ的なおもしろさを感じるのは、アルフォンソ・キュアロン独特の長回しを多用する映像のフレッシュさ、モノクロでありながら色彩と感情豊かな映像の美しさにあるんだと思います。
監督の幼少期の実体験を基に描いているらしいが、縁もゆかりもないこちらにまで懐かしさを感じさせてくれるような、映像の中に入り込ませるような没入感を味わせてくれる。

混沌とした時代で立場的にも決して強い側とは言えない主人公たち。淡々と且つ必死に生きている彼女たちの姿に知らずのうちに感情移入してくるはず。
そしてその人生をまさに象徴しているようなラストの海辺のシーン!
文字通り荒波に揉まれながらも強くあろうと生きている彼女たちの姿に涙が止まらなくなります。

良い映画でした!

フェルミンのフルちん棒術にはかなり笑わせられたけど、あいつ最低!