ハリーたち仲良しの女子高生4人組は、ある日ネットで見つけた“スレンダーマン”を呼び出す方法という動画を観てしまう。
はじめはその事を特段気にしていなかったメンバーだったが、その内の一人ケイティが学校の課外授業中に行方不明になってしまう…という、アメリカで有名な架空の都市伝説的キャラクター・スレンダーマンをモチーフにした作品。
ホラー映画ですが、そのアプローチがちょっと面白い作品!
大抵のホラー映画はそれが事実としてその恐怖体験を描きますが、本作は“スレンダーマン”というモチーフを基に都市伝説そのものを描いたような作りになっています。
まるでウィルスの様に伝播する“都市伝説”。
70年代の終わり、日本では“口裂け女”の都市伝説が大流行しました。
今みたいにネットもない時代にそれは全国的な広がりを見せました。
同じ頃“こっくりさん”も大流行し、集団ヒステリーを起こした子供たちが現れたと社会問題になり全国の学校でこっくりさん禁止令が出されたと言われています。
そして、架空のキャラクターである“スレンダーマン”の影響を受けた刺傷事件が2014年のアメリカで発生しました。
そもそも、都市伝説は根拠の乏しい非現実的なもの。
なんなら“こっくりさんによる集団ヒステリー”自体も本当に起きた事なのか?って考えるとそれすらも“都市伝説”のうちなのかもしれません。
でも何故か人はそういった“怖いもの”に惹かれてしまいます。
ホラー映画だって、何故か僕たちは怖いものを自ら観ようとしてしまいます。
何故人は恐怖というものに、ひいては“負の感情”に惹かれてしまうのでしょうか。
そう、人々の間に伝播するのは“恐怖”だけではないのです。
怒りや憎しみも瞬く間に広がり、それは差別やヘイトクライムといった形で現実に影響を与えます。
ネットが発達した今、70年代とは比べ物にならない程のスピードと規模で拡散される様々な感情。
技術は発達しても人間そのものの精神性は何も変わっていないのだから、本当に人類を危機に陥れるのはウィルスや天変地異などではなく、人の感情によって引き起こされる何かなんじゃなかと思うのです。