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記憶にございません!のjohnのレビュー・感想・評価

記憶にございません!(2019年製作の映画)
4.0
「記憶にございません」
記者会見の際の頻出単語の中では筆頭の重要語句である
この一言の破壊力はすさまじいものがある。
日本国民のほぼ全員を「ああ、またか」とか「どうせこの国は」と萎えさせる、日常では聞かないが、テレビから知る、不思議な共通言語となっている。

仮に三谷幸喜の映画監督作品を初期、中期、後期と三分割すると、
ラヂオの時間(1997年)とみんなのいえ(2001年)が初期では好き。ザ・マジックアワー(2008年)とステキな金縛り(2011年)が中期では好き。そして今作が後期の好きな作品になる。

「このクソ野郎が!」
と叫ぶ憲政史上最低の支持率2.3%の総理大臣の頭に民衆からのブーイングで石が当たる。自分のことしか考えないクズ総理が人が変わったように、自分の立場を利用して子供のような純粋さで政を行う話。

中井貴一の唯一無二のコミカルでハートウォーミングな演技がフルに生かされた微笑ましい作品。

ディーン・フジオカ演じる首相秘書官の冷静さや小池栄子演じる事務秘書官の食わず嫌いしない姿勢が総理をバックアップしていることや、周りの人間の駄目なことが当たり前という思想を際立たせることで、うまくバランスが取れており、最後のオチも含めて、勧善懲悪エンタメにもなっている。佐藤浩市の縁の下感のあるキャスティングも素敵。

結局「好きなタイプなんだ」なのかよ笑
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