絶対的なハッピーエンド=結婚、とされるマジョリティー的な価値観の押し付けに真正面から石を投げる。現代的なリメイクだった。最高。
四人の姉妹にフォーカスが当たる。それぞれの選択にもちろん正解不正解があるわけではない。どの選択も彼女自身で選んだことだから。それこそが自由に生きることであり、多様な価値観であり、だれの生き方も否定しないことを演出している。
1994年版の若草物語も最近鑑賞。
比べるのはどうかと思うが、ただひとつ言えるのはこのリメイクは今だからこそ作られる意義があった。
そう強く思えるほど、アレンジ要素とその匙加減が光る作品。ひとえに監督グレタ・ガーウィグの手腕だと思う。
そして旧作も同様に姉妹と母親が寄り添うシーンが愛らしい。
姉妹みんなが一斉に喋ってワイガヤしてる彼女たちのことを、外部の人たちがほほえましくそれを見つめるシーンが何度か映る。
それは当たり前すぎる日常だからこそ彼女たち自身には気付けない幸せなのだと物語っているようでとても好きなシーンだった。
この物語でジョーが描くであろうエンドは、マジョリティーの価値観に合わせてあげた"結婚"というラスト。
逆にこの映画としてのラストは、ジョーは賢く立ち回り、自分に大切なものとことを取捨選択して、自立という選択をしたラスト。
この対比が見事。
フィクションだからこそ、望まれるものを作るのか、あるべき世界を描くのか、という作り手としての葛藤みたいなものを両方描いている。
自分にとって何が大事なのか。それを自分で理解していること、そしてどんな局面でも、その選択を見誤らない強さと賢さは間違いなく"カッコいい"。
自分の孤独を埋めるための選択は、愛ではない。
蛇足
ロゴタイポは、原作本のタイポのデザインを踏襲している。