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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のjunjuoneのレビュー・感想・評価

3.7
女性の現実、女性の家族と女性の絆、女性ならではの生き方の難しさ、苦しいくらいに心温まる女性の姿が満載。


女系四姉妹の群像劇。
鑑賞の目当てはフローレンス・ピュー見たさが第一でした。


男なら意に介すことなど皆無であろう悩み事の数々は女性にとってのリアルであり、たくさんの会話を紡いでそれらを乗り越えていく。

原作はきっと一つ一つのエピソードがもっとボリューミーなのだろう。

それでも、時代背景を超越して女性の生き方に触れられ、主人公たちと一緒に涙できる感覚の鑑賞スタイルは、ここ数年分の心の凝りに鑿(ノミ)を入れたような、フレッシュな刺激が得られた映画体験でした。


調べたところ、本作は有名な若草物語4部作の1&2までのストーリーをなぞってあるようで、四姉妹はじめ登場人物の名前も小説の中身と一致するが、映画自体はその若草物語(原題 little women)の小説の誕生秘話みたいな切り口のバックステージものとして描かれるという、トリッキーな手法である。


こんなにも思い出を宝物にすること、姉のお下がりの彼女になることにこんなにも抵抗を示すこと、他にも、挙げたらきりがないほど、苦しいくらいに心が温まる女性の姿が満載。


女性の家族の女性の絆は、時に彼女たち自身に生きる上での難しいルールを敷く。
それぞれが宿命を分かち合うかのように違う形で自身の人生に制約を設ける。

ある女子は貧乏を受け入れることを、

ある女子は女性の尊厳と男への愛を両立できないことを、

ある女子は才能や夢を潔く捨てられるくらい男に人生を委ねる道を優先することを。。


その女性の制約の権化とも言える存在が、メリル・ストリープ演じる伯母といえる。

この、経済的に豊かで辛辣な独身女性が度々若者に人生観を強要してくる姿は、この映画中における胸糞一歩手前のスパイシーな見どころでした。


結果、女子各々がしなやかに人生を確立して良き伴侶を得ていく絵面は、悔しいかな出版社の男が言う通り、良いものであった。


その中でまさに次女が抱えた生き方のジレンマがよく表現されていた(また、話の筋から察するに、次女についてはおそらく結婚には至っていない)ということは、やはりこの次女が原作者本人の姿を投影しているということなのだろう。


現在と7年前とでシーンがこまめに立ち代わるが、皆同じ役者がそれぞれの人物の過去現在を器用に演じ分けている。

エマ・ワトソンはもともと童顔である上に長女役とあって7年前のシーンも難なく演じている雰囲気。

20歳時と13歳時を演じ分けなければいけない末っ子役のフローレンス・ピューの芸達者が求められる中、肉付きや声の低さからは大人っぽさを隠せないものの、人懐こく賢い四女の役をとても上手く演じていて、次女に張るだけの存在感で物語を牽引していた。


ローラ・ダーン、昔から、スリムなボディラインやフェミニズムな雰囲気が苦手だったけど、今作の優しい母親像、、めちゃいいじゃない。。
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