おてつ

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のおてつのレビュー・感想・評価

4.6
 暫定今年No. 1作品。冒頭、ジョーの自由を体現した様な疾走から一気に心掴まれ、これは女性が自ら自分自身の幸せを探究していく物語なんだと確信する。無限の可能性に溢れる少女時代を暖かいオレンジ色で表し、様々な苦難に直面する現在を青白く描く。これは画期的な方法で登場人物の感情を叙情的に分かりやすく且つストレートに観客に示している。また、登場人物を緻密且つ丁寧に描いていて、全員に感情移入できる構成。マーチ家の長女メグは自分自身をちゃんと理解し、好きな人と結婚する事を夢見る少女、次女のジョーは活発的で結婚が幸せとは考えず、自立し、自ら作家としてお金を稼ぐ事に憧れているが、心の何処かで孤独を感じている。ジョーとは対照的の四女エイミーはお金第一の結婚が女性のあるべき姿と捉えていた。そして、三女のベスは内向的だが、一番人思いで、この物語のキーパーソンでもある。女性の幸せは結婚?お金?それとも?というのが大きなテーマになっていて、マーチ家の4姉妹はそういった男女の使命という固定概念の垣根を超え、それぞれが“私の物語”を紡いでいく。圧倒的な余韻を残してくれる大傑作でした。

 
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