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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のOguのレビュー・感想・評価

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『若草物語』はこれまでオルコットの小説はおろかハウス食品世界名作劇場のアニメ版すら観てこなかった。どこかで女の子のものだと決めつけていたのだと思う。それが間違いだったということに恥ずかしながらようやく気がついた。
19世紀半ば、南北戦争の時代を舞台にした物語はむしろ今まさにこのタイミングで親しまれるべきなのかもしれない。少なくともグレタ・ガーウィグが監督第2作目となる映画で描いたのはそういう物語だったと思う。
冒頭、ジョーが人波を掻き分けながら疾走するシーンは観客を一気に物語へと引き込む。グレタ・ガーウィグ自身も『フランシス・ハ』で演じた名シーンさながら、喜びのあまり走り出してしまう姿というのは誰の目にも美しい。そして物語は最後の最後までテンポ良く進み、見逃してもいいようなシーンは1カットも見つからなかった。
劇中、活字を拾うところから始まり活版印刷された紙の束が古い道具を用いた伝統的な手作業によって製本されていくシーンがあった。製本されていたのが誰の本なのかは言うまでもないことだろうけれど、仕上げの金箔が押されていくまでの過程にはもうひとつの感動があった。
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