千年女優

悪の偶像の千年女優のレビュー・感想・評価

悪の偶像(2017年製作の映画)
3.5
次期知事候補の市議会議員で、欧州視察から帰国するとひき逃げ事故を起こした挙句に被害者の遺体を持ち帰る息子の愚行に直面したク・ミョンフェ。政治家生命の危機を前に遺体を戻して息子を自首させて隠ぺいを図った彼が、被害者の父親で嫁も同伴していたはずと主張するジュンシクの証言に戦々恐々とする様を描いたスリラー映画です。

短編映画でキャリアを積んで密陽女子中学生集団性暴行事件を題材にした長編デビュー作『ハン・ゴンジュ』が国内外の映画祭で高い評価を受けたイ・スジンが、共に韓国を代表するベテラン俳優の二人、ハン・ソッキュとソル・ギョングを主演にした作品で、前作ほどの旋風までは至りませんでしたが社会派スリラーで一定の評価を得ました。

大ヒット作『ベテラン』と同様に反感を買う権力者の子供を糾弾する物語と思いきや、それを導入に社会派監督らしく移民問題を絡めた意外な飛躍を見せます。要素が入り組み過ぎていて些か煩雑になっているところは否めませんが、韓国映画が得意とする陰惨さを厭わないノワールを活かして現代社会が抱える闇へ切り込もうとする一作です。
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