無難

37セカンズの無難のレビュー・感想・評価

37セカンズ(2019年製作の映画)
4.3
漫画家志望の女性の成長譚だ。彼女が車椅子生活であることは、ほとんど関係ない。光は光、影は影のままで、無理に照らしたり作ったりしない監督の心意気と優しさが詰まった映画である。

外に出て行こうとすること、自分の新たな一面を見つけること、自分を表現すること。そのすべてに、誰かが介在する。
だからこそ、頼ったり、優しくしたり、信じたりするのが大切なんだなと。たった2時間弱で大きく、強く、優しくなるエマの姿を、忘れたくないと思った。

だらしない役が多いイメージの渡辺真起子さんの役を初めて好きになった。なぜか涙が出るほどかっこよかった。



主演の佳山さんは、「私は私でよかった」ではなく、「でも、私でよかった」という台詞を選んだという。そのエピソードを聞いても、感動はしなかった。この作品に映る言動には一切の作為を感じない。フィクションだし、ファンタジーかもしれないけど、こうありたい、こうしたい、が詰まっているように感じた。
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