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マイ・ブックショップのkidsのレビュー・感想・評価

マイ・ブックショップ(2017年製作の映画)
2.5
1959年のイギリスの小さな町を舞台に、戦争で夫を亡くした女性フローレンス(エミリー・モーティマー)が小さな本屋を開店するも、町の保守的な有力者たちの妨害に遭うという受難を描く本作。ペネロピ・フィッツジェラルドの原作を『死ぬまでにしたい10のこと』(2003)のイザベル・コイシェが映画化したものだ。フローレンスをサポートする老人を英国紳士たるビル・ナイが演じているのだけれど、ふたりは『華氏451』といった名著によって共鳴する。つまり、ときとして社会秩序や規範を揺るがしかねないものとしての「本」を愛するということはある種の反社会的行為であって、ふたりの行動は本好きという名のマイノリティたちの共闘でもある。女性の自立の困難というテーマも現代に通じているが、そうしたことを殊更大げさにでなく、さらりと描く上品さが見事だ。孤独でか弱いわたしたちは、いつだって文学や音楽や映画、アートとカルチャーで繋がっていく。
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