Ellie

楽園のEllieのレビュー・感想・評価

楽園(2019年製作の映画)
3.6
吉田修一の犯罪小説集はずいぶん前に読んだけど、この短編集をどんな風にまとめて実写化するのか楽しみだった。

なんで「楽園」なのか、タイトルの意味が理解できなかったんだけど、綾野剛と吉田修一のインタビューを読んで「あぁそういうことか・・」と腑に落ちた。

「楽園」を探し求めていないと「明日を迎えられない」人たちだったんだと。
「楽園」とは人それぞれ感じるものは違うけど、彼らにとっては人の温もりだったのかもしれない。

とにかく佐藤浩一の演技がたまらなかった。
犬は人の真の部分を見抜く力がある。
どんな狂暴な犬も善次郎には懐いてしまうし、捨てられたレオを拾って家族として迎え入れたり、両親の介護のために故郷に戻るような心優しい善次郎だった。
孤独感から過去への執着心が強まって、疎外感が増し、心が壊れていく様に胸が締め付けられた。
密な村ほど陰湿で闇が深くて怖い・・と感じてしまう。

今回紡の話はオリジナルだったけど、紡が「みんながたけしさんを殺したんだ!」って言いながら、「それでも私は生きる!生きる!」って力強い足踏みをする姿はよかった。
たけしを信じたい紡でありながらも、見てしまった現実(?)を泣きながらもしっかりと向き合うあのシーンはよかった。
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