k

楽園のkのレビュー・感想・評価

楽園(2019年製作の映画)
-
最悪だな〜。
それぞれ難しい役で表情だけでもいろんな感情を見せてくれたり、"普通の人"として村に来てからどんどん壊れていく様とか、感情が揺れている様が演技でこんなに表現できるんだと思った。柄本明の存在感と演技に見えない本物の村人感が凄い。
予告はサスペンス映画みたいに撮られてるけど、全く違う。事件の真実なんてどうでも良いと思える結末だった。犯人がわからなくたって良いし、真相が明らかにならない。たぶんわかったところでわたしはすっきりしないと思う。田舎のせまい閉鎖空間の村八分が描かれていた。「あいつが犯人だ」と、誰かが声を上げたら犯人になってしまうほどの狭い村社会。外から来たものは結局よそ者のまま。苦しい余韻がずっと残ってしょうがないんだけど、なぜかまた観たい気持ちがある。
希望のある楽園を求めて来た者と、楽園を維持する村の者。両者が楽園を求めているのにこの映画ではそれぞれが同じ場所にいても成立しなかった。実在事件を元にしていることもあるけど、邦画で描かれることによってこれに近いものがどこかで起きているかもしれないとすぐに想像できて怖い。
私は昔から自分以外の関係がすでに出来上がっている場所に1人で入っていくのが苦手だった。たぶんこれに近いものが起こりそうだと思っていたのかもしれない。この映画を観た後にいろんなこと考え込んだけど、人に優しくしたいと思った。救いたい。
k

k