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楽園のmiraikakoのレビュー・感想・評価

楽園(2019年製作の映画)
5.0
*公開後、5回目の視聴を終えて、あれこれ意味不明に長文化しました。


綾野剛が出てるから、なのかもしれないけど

これは、、観て!
観た人と話したい。

わたしはめっちゃ好きな映画だけど
瀬々さんらしい社会の構図、構造差別の果てにある現実
吉田修一原作の、犯罪とは犯罪者とは、いったい誰だ、わたしだったのかもしれないじゃないかという問い。
全部生きてると、思う。
役者もすごかったんだけど、彼ら三人の周囲にいる市井の人々を演じる瀬々組の、あるいは邦画の至宝みたいな人たちのさりげない存在感もまたすばらしくて。

役者がその役を生きることってのがしみます。
先に観た人たちと感想交換の盛り上がりは半端なく、あのシーンのあの表情の意味から原作の単行本と文庫本の表現の違いまで多岐にわたってデイスカッション(笑)楽しい❗️


公開したら、また、書く。
2019/10/8

すでに、上映終了が見えてきました。こういうの、映画好きな人しか観ないからなぁ。救いがないと言えばない話だし。

で、犯人は誰だ的な見方を最初どうしてもしてしまう。推しが殺した人なのかどうかは、結構気になる(笑)原作=単行本のラスト2行だと「やったな」の印象なのだけど映画化決定後というか初号後に発行された文庫本=映画宣伝帯付きだと、書き換えられていて、「やってないよね」が強くなるんですよ、これが。←コアなファンしか気づかないって。
ご本人はやってないつもりで、だけど初めて自分を直視してくれた愛華ちゃんを自分のものにしたいとは思ったかもしれないなどと、意味不明なことを言うし、監督ですらかわいい花ちゃんにやったんだやってないんだと翻弄したと言うことなので、作ってる側はどうでもいいことのひとつなんだろうなとは悟りました。そこが重要なんじゃない映画なんだなと。彼らの意味不明な発言は、自分たちのことばで「映画の後」を決めたくないんだと。「楽園はどこにあるのか」という問いもまた、ひとりひとりが、自分の生きた道筋や経験や思考や読書量や映画どんだけ見たかとか、イメージする力とかそういうもので、きっと違う到達点があって、「それでいい、それがいい」とされた映画なんだろうと、今は思います。そしてそういうの、お茶の間はめっちゃ苦手です。しょうがない。

二人の追いつめられる男たちが選んだ死に方が、特殊すぎて、意味があるんだろうとわたしは思っています。映画というより原作者の、思考かもしれません。同じ自死でもあの死に方二つは、抗議とか身の潔白とかそういう思想をはらんだ死に方なんじゃないかと。だからなんだという話です。

そして久子と息子が、豪士と母親にだぶるツクリになっていたように思います。一定年齢のシングルマザーは生活と子育てと将来不安でグダグダだろうと思うし、経済的にも精神的にも肉体的にも男性の加護が欲しくなるのは当然で、そうなると「いっしょにがんばろうね」だったはずの息子との関係はひびわれてくる。互いが守りたい、けれどめんどくさい存在でもある、そういう親子関係。
限界集落に住む高齢者たちは子らが出ていった親たち。親の看取りのために帰ってきた善次郎は異端。
親と子が、家族が、こうあるべきとされてしまうことが、この作品のベースにはあって、吉田作品の魅力でもあるなぁと改めて思った、5回目視聴後、なのでした。
シナリオも読んだし、インタもあさりました。楽しかった。推しというのは、こういう時間をもたらすんですよねー♪
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