toyu18l98

楽園のtoyu18l98のレビュー・感想・評価

楽園(2019年製作の映画)
3.6
もとは短編小説集の中の二編をひとつの映画にした作品とのこと。
三章に分けられた構成は、どこか短編集の持ち味を踏襲している気がした。

事前にキャストインタビューで『これは場所の話で、タイトルが楽園になった瞬間に拓けた』といった内容を読んでいたので、場所というモチーフを痛感しながら見た。

章が変わった後に、空白の時間に何があったのか、ひとひたと忍び寄る不穏さと苦味を味わっていく感じ。
一つのストーリーというよりも、三本の糸を寄り合わせていくような作り。一本になったようで同一化はしない。
これを、『何が言いたいのかはっきりしない』『ブレる』と捉える人もいるかもしれない。
直接は繋がらない、けれどあの瞬間のあの『場所』のシーンに涙が出てしまった。
現実は答えがあることばかりじゃなくて、他人は完全に理解し合えることなど絶対に無くて、そんな中で自分達も生きていることを改めて突きつけられた気がした。

そして、楽園、のタイトルを今も考え続けている。
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