コクムービー

楽園のコクムービーのレビュー・感想・評価

楽園(2019年製作の映画)
3.2
鬱屈した閉塞感のある地方都市。緑溢れる田舎道にある1つのY字路と、その道の先にある限界集落のそれぞれで事件が起こる。

その場所と事件に翻弄された人々の行動描写を群像劇的に眺めることで、人の愚かさや弱さ、そしてそれぞれの悲しみや苦しみを目の当たりにする。

加害者と被害者、隣人と他人という線引きが曖昧に描かれていると感じる。誰もが愛すべき存在であると同時に、目を背けたくなるものとなっている。

そんな混沌とした状態でさえ肯定すべきものであり、見方によっては楽園とも言える。しかし同時に、本当の楽園を探すために生きなければならない。そんな複雑な概念のぶつかり合いを感じる。

対立した二項が混ざり合ってこそ現実だと、提示されているような物語。