吉田修一原作「犯罪小説集」を読んだうえで鑑賞しました。
5編の短編からなる「犯罪小説集」。
内、2つの物語が映画化させているのですが、原作を読んだ限りでは、どうして映画のタイトルが「楽園」なのか?
ピンとこなかったんですね。
映画を観ても、「楽園」ってどこにあるの?
と思う重い内容。
証拠もないのに犯罪を疑われる青年(綾野剛)
親友の失踪事件で心に傷を負ったまま暮らしている少女(杉咲花)
限界集落で孤立して心が壊れていく初老の男性(佐藤浩市)
むしろ描かれているは、「地獄」じゃないかって。
閉塞的な村での生き辛さ、集団心理が暴走した時の怖さも感じました。
2つの物語と3人の運命が交錯しているので、それぞれの視線でストーリーを追わないと分かりづらいかもしれません。
でも登場人物に寄り添って丁寧にみていくと、味わい深く鑑賞できる気がします。
タイトルが「地獄」だったら、「ほんとそのとおり、胸糞映画だよね」で終わってしまったかも。
「楽園」とつけられることで、「それぞれの登場人物の楽園は、どこにあるのか」「楽園にたどり着くにはどうしたらいいのか?」など考えさせられました。
あっ、あと本筋ではないけど、佐藤浩市さんと片岡礼子さんのラブシーン。
中高年のあーいう感じ、妙に生々しいなぁ、って思っちゃいました(笑)