Haru

グリーンブックのHaruのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.5
60年代のアメリカの街並みやファッション、そして車が素敵。映画のテーマカラーのあの車、それの象徴する「色」という概念がいつの時代も美しいものであってほしい。
シンボリズムがたくさんで、見終わった後にあれは何だったんだろうって考えられて楽しい。主人公2人の意味するもの、石、KFC、全てがさりげなくも大きな意味を持っている。世界史や米国史で習った差別の現実。たった50年前の現実。レストランやモーテルのシーンは何が起こるかわかるので悲しくて心が痛かった。Dr.Dの言動が勇敢だとか正義だとか何か讃えるべきものだとは思わない。ただそれが現実で他に道はなかった。彼のように意志を貫く人もいれば、そうでない人もいる。私はアジア人として後者だと思う。当然の権利を主張することさえ、権力や暴力を前にしては困難になりうる。イタリア系のTonyは前半ずっと「白人」サイドだった。スーツ屋でも。60年代、人種の受容の過程においてラテン系が完全に「白人」とみなされなかった時代だからこそ、Tonyの扱われ方も様々で興味深かった。雨のシーンが感情的でとても良かった。正義を正義として生きてきたDr.Dの内面が剥き出しになった瞬間。彼の言ったI’m not black enough. なんだか言葉に表せないけどわかる表現。後半の鏡に向かう彼の表情が忘れられない。最後の方の笑顔が本当に素敵。Tonyの存在感は映画を「定番」にしなかった。差別の歴史を描いた作品は多い。その中で、暗く悲しい、悪く言えば「平凡な」作品にならなかったのは彼のおかげ。前半のトラッキングシーンと言葉無くして表される彼ら一人一人の思考や人となり、スクリーンでの表現が好きだった。ロードムービーとして面白いと同時に、ニューヨークから南部に向かう意味を考える。日本と違って広大なアメリカでは思想も土地でガラッと変わる。何気に最後クリスマスなのでクリスマス前のこのシーズンに見られてとても幸せ。For colored onlyとか嘘でしょって思うような正に映画の世界の50年前の現実を見て、これから50年後に、何か今当たり前のことが当たり前でなくなって私たちも昔の差別主義者に成り下がってしまうのかなと考えた。
ものすごく見覚えのある人が全然思い出せなかったんだけどGleeの校長だった...!
ロサンゼルスに住んでアメリカを知った気になってるけど中部はきっとまた全然違うんだと思ったらむしろその違いを見に行きたくなった。

@ Los Feliz Theater