黒人差別が現在よりも色濃い1960年代のアメリカで黒人の天才ピアニストとして、活躍するドク。北部よりも黒人に対する差別が厳しい南部でショーを行うことにしたドクは、イタリア人のトニーを運転手兼、用心棒として雇う。
トニーは衛生局の運転手や客層のいい店の用心棒、巧みな話術、人脈を頼りにお金を稼いでいるものの、愛する家族を支えるお金が不足していた。その時ドクから仕事を依頼されたトニーは黒人に対する差別感情を抱きながらも、その仕事を引き受けることにする。
最初こそドクを見下していたトニーだが、彼の演奏に魅了され、一緒に行動を共にしする中で彼の人となりを知り、親しみを持つようになる。また、ドクも喧嘩っ早く、少々ガサツだが心の優しいトニーに少しずつ心を開いていく、白人と黒人の友情を描いた物語である。
仲のいい友人、近くで支えてくれる家族も持たず、白人社会の中で黒人一人という孤独を抱えるドク。どうすることもできない思いを隠すように、悲しい時も柔らかく笑うドクの強さに感嘆すると同時に、今までどれだけ声に出せない苦しみに耐えてきたのかと考えると目頭が熱くなった。
喧嘩っ早く、チンピラにも見えるトニーは家族や仲間思いで、一度懐に入れた相手に対しては最後まで面倒を見る人情味に溢れた人物。長旅に出る夫に手紙を送ってと言った妻に、今日会った出来事をただ書き連ねる小学生の日記のような手紙は本当可愛くて、見ていて心がほっこりした。
心温まる物語を見たいなと思う方には、是非おすすめの映画。
