KATO

グリーンブックのKATOのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.5
いい映画だなぁと思う。きちんとまとまっているし、ラストも焦らしに焦らして落ち着いてほしいところに落ち着く。
適度なハラハラと、問題提起。伏線回収に、人物たちの心情の移行。うまくまとまっていた。

しかし、この映画難しいなぁと思う。良いか悪いでいったら、間違いなく“良い”が、内容を観て何の疑問も持たずに「いい!」といえる確証がない。それは、この映画の提示する人種差別というところにあるのだと思う。
しかし、ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリの演技は素晴らしく、二人の感情に大きく自分のなかの何かを揺さぶられたことも事実だ。いっぱい泣いたし、たくさん笑った。二人が怒れば私もムカムカと腹が立ち、白人たちに中指を立てればスカッとした。
この二人の旅を観れてよかったし、元気になりたいときはまた観たくなる。作品賞を受賞したことで色々と物議があったようだが、映画は芸術でもあるが娯楽でもある。
「観てよかった」と思えるところに着地できているなら、それでもいいんじゃないかと思った。
でも、やっぱり難しいなぁ。私は人種差別について何も知らないのだと痛感した。許されちゃいけない。それでも甘んじて受け入れて、自分の姿をすり減らしているドクターの姿が観ていて苦しかった。
トニーの変化、そしてトニーの奥さんの考え方もすべてがこの映画で大きな意味を持っていて、たくさんの考えの人たちがこの世界には存在することがわかる。
“人は人”という言葉・考え方が、だれにでも適応される世の中になるといい。肌の色も生まれた国も関係なく、みんなが幸せになれる世界になってほしい。……というのはきれいごとだろうか。
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