harumijano

グリーンブックのharumijanoのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.0
シャーリーがなぜエリート教育を受けられたのかっていう幼少期がもっと掘り下げて知りたいのだけれど、
「どれだけ教養や技術があろうと白人にはなれず、その教養・バックボーンが邪魔し黒人文化に慣れ親しんでいないが故に黒人社会とも同化できない」
っていう葛藤はすごく良かった。
自由の国でありながら、完全に個人で好きに生きてなどいけない。何かしらのコミュニティ、共感関係に依拠していないと不安なんだ。イージーライダーだ。

その分、バーでクラシックを弾いちゃうシャーリーが受け入れられた瞬間に感動した。そこからグルーヴィーなジャズを弾いちゃうシャーリー。最高。あの瞬間に黒人に「成った」んだなぁ。(そのカテゴライズに落ち着いたのが良かったのかはともかく)

本作はまさにシャーリーの葛藤が主題なのであって、白人による黒人差別や、その白人との触れ合いストーリーを主眼に置くのではなく、ましてや公民権運動などの「大きな歴史」の流れに本作を位置づけるべきではないと思います。シャーリーという1人のエリート黒人のヒストリオグラフィー。


まぁさまざまに批判はあれど、悪くはないですよ。
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