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グリーンブックのnamieのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
5.0
腕っぷしと口の巧さでNYのナイトクラブを生き抜く用心棒トニーは天才的な演奏技術を持つ黒人のピアニスト ドクター・シャーリーの運転手として雇われるも、彼のツアーは未だに根強い差別の残るアメリカ南部地域だった。2人は長いツアーの道中をグリーンブックを持ちながら旅するが、その中でシャーリーがなぜ南部を選んだかをゆっくり知る事となる。
映画としてのセオリーを考えた時に、作中の学が無くて素行も悪い白人と、知性があり常識的な黒人という構図は、人々の表層にある無意識的な差別構造を炙り出されたようでハッとさせられる。(そんなこと言い出したら全部そうなんだけど…)
無作法で傍若無人だけど決して馬鹿では無くて、デタラメで世を渡りながらも情にアツい男のトニーと、知性的で文化人だけど自身の恵まれたステータスに決して安住する事なく黒人と白人の間で戦い続ける自由の戦士ドクのアンバランスだけどベストマッチな2人のやり取りは心地良く、この映画を全人類に見せれば差別は消えるんじゃ無いかとすら思えてしまう…。
その人がその人らしい事をやるのがどれだけラクなことか。。黒人が黒人らしく生きる事に決して逃げないドクの姿は、アメリカの人種差別に対する認識が薄いアジアの片隅に生きる自分でさえその姿勢は燦然たるものだと感じました。

実話を元にしているとの事なのでトニーとドクの人生全てを網羅したいので誰かスターウォーズくらいの規模感で8部作くらいに分けて上映して下さい。言い値をお支払いしますので。。。
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