めったにお目にかかることが出来ない「ラストシーンで評価がガラリと変わる」作品。
ごった煮のボリウッド作品のように、意味無く歌われるミュージカルシーンや、イマイチなCG狼のデザイン。着ぐるみや赤ちゃん狼のチープさで、全体的に不思議なテイストで目新しくはあったが、今一つ盛り上がらない。
そしてラストで排他的な人々によって「親子で退治されバッドエンド」かと思ったら・・・・
「飢えさせはしない」と手をとり立ち上がり、狼の力強い咆哮と母親の固い決意の後姿。
素晴らしいラストシーンだ。
扉を開けた後の超ハードな戦闘シーンを、まるで見たかのごとく想像でき、ここから始まる親子のダークサイドな生き方まで見える。
もちろん真逆の「退治されエンド」と見ることも出来るし、母が囮になり子供を逃がすと見ることも出来る。
でも、私には子供が狼の実力を完全に発揮して、群がる群集を瞬殺。母親が後ろから倒れた人に目もくれず、余裕で歩いてくる姿が見えた。
こんなおいしい、カッコいいラストなのに、狼のデザインの悪さと、そこまでのテンポの悪さが実に残念でならない。
よく言えば「じらし」効果でラストが引き立ってはいるが、ストレートにラスト1コマにむけて集約するような演出でリメイクすれば大ヒットすると思う。
2時間まったりと画面を眺め、ラスト一瞬で「カッコいいーーー！！」と感動する作品。
