Lindsay

フロントランナーのLindsayのネタバレレビュー・内容・結末

フロントランナー(2018年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

ここ数年、映画の巨匠ハーヴェイ・ワインスタインや、名優ケヴィン・スペイシー、キング・オブ・R&BのR.ケリーなど、アメリカではセクハラ問題が多く取り上げられています。

ワインスタイン氏はその後、自分の会社ザ・ワインスタイン・カンパニー(TWC)をクビになり、主演ドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」を配信するNetflixは速攻でケヴィン・スペイシーを解雇。R.ケリーはというと、被害を受けたとされる女性たちからの証言を集めたドキュメンタリー番組「サバイビング・R・ケリー」が今年に入ってすぐ放映された後、彼が所属するソニーの音楽レーベル「RCA」が、R・ケリーを自社のラインアップから削除しています。

不祥事を起こした者は徹底的に業界から追放されます。スキャンダルによりキャリアの全てを失い、もう輝かしい世界には戻って来ることができないほど、重い罪なのです。このように、どれだけ権力がある人物にも適切な罰が与えられるようになったのは、いつからでしょうか?


ヒュー・ジャックマンが演じるカリスマ政治家のゲイリー・ハートは、1988年の大統領選予備選で最有力候補、すなわち「フロントランナー」でしたが、マイアミ・ヘラルド紙が彼の女性スキャンダルをスクープしたことによって支持率が急落し、結局再撤退を余儀なくされました。

本作では実際の事件が描かれていますが、その後の政治家と報道の在り方に大きな影響を与えたんだろうな…。と思う点が多々ありました。例えば、劇中、ヒュー・ジャックマン演じるフロントランナーのゲイリー・ハートが、「ただの噂話で私のキャリアは潰されない」と発するシーン。

少なくとも、本作「フロントランナー」の舞台である1980年代は、今よりも不祥事が軽視されていたに違いありません。

そんな時代に起こった、正規のスキャンダルが忠実に再現されている映画でした。盛り上がりはどちらかと言うと少なく、綺麗事や派手さはほぼ感じられない、ドキュメンタリーに近いような雰囲気です。
Lindsay

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