垂直落下式サミング

ONE PIECE エピソードオブ空島の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.3
大好きなエネルの登場する空島篇。
ファンのなかではあんま人気のないエピソードらしいけど、ひし形のおっさんとの出会いからラストにいたるまでの流れが綺麗で、いちばんスッキリとまとまっているから僕は好き。
アラバスタまでは、ずっと麦わら海賊団とバロックワークスの抗争をめぐるストーリードラマとして続いていたのに、そのあとに来た空島篇は、他のエピソードとの関連が薄く、ひとつの独立した物語としてポツンとあるので、どうしてもはなしの規模が小さくみえてしまうのは致し方ない。
だけど、古代遺跡やジャングルなど非文明社会のなかを身一つで冒険していくアドベンチャーのワクワクはシリーズでも随一!
密林でのサバイバルや、未開部族との交流も楽しく描かれていて、さらには神を名乗る支配者との戦いへと発展していく地獄の黙示録。なによりナミちゃんがずっとビキニなのが良き。二つ結びもかわいい。
ストーリーは、原作やアニメとおなじなので特筆すべきことはなし。黒ひげとベラミーの件はスルーして、カルガラとノーランドの昔ばなしは軽く省略しつつ、鐘の音ひとつで現在過去すべての因縁が決着する綺麗さ。お見事だった。
夢にみた黄金郷はあったし、自分の先祖は嘘つきじゃなかったし、なにより若者たちが無事でよかったと、オッサンがさまざまな思いが入り交じった表情で空を見上げるのがいい。
敵のエネルも規格外。ゴロゴロの実の雷人間ってだけでもヤバイのに、島全土の人間の声がきこえて、悪口言われたら即天誅してくる。見聞色の極意は少し先の未来をみることだけど、単純な規模だけなら作中ぶっちぎりの使い手だ。
新世界では自分を無敵と思い込んだロギアの寿命は短いとペコムズが言っていたけど、エネルさん別に能力にかまけてなくて、ちゃんと肉体も鍛えてる。
ルフィに攻撃が通じないとわかったら、すぐに機転を利かせて、戦法を変える武闘派ゴッド。エミネムゆずりのハングリー精神で、セルフ心肺蘇生も可能。さらに、方舟マクシムを使えば島ひとつを跡形もなく消し飛ばせるっていうチートも使える。こんなやつ勝てないじゃん。
なんでルフィ勝てたんだろ。グランドライン前半で一味とエンカウントしていいような敵じゃなかった。
勝負には負けちゃったけど、ちゃんと目的の月に行って、何なら古代遺跡発見しちゃう。これワンピースみつけるより偉いと思う。
不満なのは残酷描写が陳腐化してるところ。昔のアニメでは、エネルの攻撃によってロビンやゾロが黒焦げになるシーンに絶望感を覚えたのだけど、今回はミディアムくらいだったのが残念。よく焼きでお願いします。