Mayuko

19歳のMayukoのレビュー・感想・評価

19歳(2018年製作の映画)
4.2
「私は二十歳で死ぬものだと思ってた。」

私の頭の中を覗かれたような、私と同じことを考える仲間がいたんだと勇気をもらえたような作品だった。

私も、自分は二十歳で死ぬんだと思っていた。そう思わないと、中学生から高校生までの苦しい思春期時代を乗り越えることができなかったからだ。二十歳は私にとって特別だった。何かが変われる、いや何かが変わらないとおかしいと、そんな期待感があった。
私が二十歳になって直ぐに、選挙権が18歳に引き下がるまで、選挙権は二十歳からだったし、お酒やタバコやギャンブルも二十歳からだったから、やはり二十歳は社会的にも心理的にも二十歳未満とは違うものであった。

でも実際は、二十歳になっても21歳になっても22歳になっても、私は死ななかった。そして、あんなにも特別なもののように思えた二十歳は、いざなってみると、そんなに大したものではないことに気づいた。社会的に制限がなくなっても、心理的にはまだ何も変わらずに、何かに囚われていた。

24歳くらいになって、私は二十歳で死ななかったし、もともと二十歳で死ぬこともなかったという事実を受け入れるようになった。そして現実に目を向けるようになった。

思春期時代の苦しい時、ふと私は二十歳で死ぬと思い、どうせあと数年の命なのだから、今直ぐに命を絶つ必要はないと考え、未来よりもその時を生きたことは良かったと思う。結果として、数年どころか、十数年生き延びている訳だから。

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さきちゃんは、物語の中盤で、「私は二十歳では死なない。そんなことは知っていた。そうなるといいなぁと思っていただけだ。」と話す。私が24歳でようやく受け入れた事実を、さきちゃんは既に知っている。
さきちゃんは、私よりずっと大人でかっこいいなぁと思った。私は今でも時々、心が揺らいでしまうが、しっかりと生きようと思った。

レンズ越しの自分だけの世界、世界への向き合い方、自分なりの生き方。
Mayuko

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