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さすらいの旅路のodyssのレビュー・感想・評価

さすらいの旅路(1951年製作の映画)
3.2
【若山セツ子を見る映画】

昭和20年代も半ば過ぎのモノクロ映画。
恋人である売れない男性歌手を支える健気な女性。やがて男性歌手は女性歌手と組んでデュエットでヒット曲を出しますが、二人の歌手は恋人だというスキャンダルが流れて・・・・というようなお話です。

この映画の見どころは、ヒロインの若山セツ子でしょう。最近の日本にはこういう感じの女性、或いは女優がいなくなっていますけれど、きゃしゃでしっとりした美人ながら、男性歌手を何とか世に出そうと必死に支え、忍従の日々を過ごしています。まさに大和なでしこ、女性の鑑と言いたくなってしまいます(と書くとフェミニストには叱られるかな)。

男性歌手とヒロインはいったん別れて、その後彼女は唯一の血縁である伯母が経営する温泉旅館で仕事をするようになります。この映画は、その温泉町の宣伝も兼ねているみたいですね。撮影上の便宜をはかってもらったりしたのかも知れません。
まあ、やかましいことは言わずに、当時の温泉町の様子を楽しんでおくのがいいのでしょう。

若山セツ子は一時期(昭和二十年代後半)映画にずいぶん出演していたのですが、病気などもあり、活動期間は短かったようです。この映画は若山さんの魅力を味わうのに格好の一本だと言えましょう。
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