Ya映画鑑賞

峠 最後のサムライのYa映画鑑賞のネタバレレビュー・内容・結末

峠 最後のサムライ(2020年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

2022.53 *140

あらすじ
日本の「スイス」になることを目指した河井。嘆願は叶わず戦は避けられなかった。途中で負傷し戦線を離れるが、死の間際まで志と生き方を曲げることは無かった。


良かった点
・長岡藩、そして河井の知名度を上げる役割を果たした。
・観客層はかなり上。隣に座っていた70代くらいの女性が、盆踊りのシーンで一緒に手を躍らせていた。
・維新三傑とかは出て来ず、マイナーな人物にフォーカスした映画。
・あの土佐の人がいい味出してた。


気になった点
・良くも悪くも松竹、という感じ。

・戦や最後の太陽は見応えがあるが、その他は基本言葉のやりとりで進む。議論でそこまで感情を露わにする訳でもない。
 これなら映画にしなくても小説でよかったんじゃない…?と思ってしまう。

畳みかけるような議論を入れる、
オルゴールをもっと効果的に使う、
正面からの(超)クローズアップを駆使して内面に訴える
…等の手法で、映画ならではの魅力を出して欲しかった。


思想面について
・幕末ものを観る時には、佐幕,尊皇など、数多くある思想(あるいは行動)の中のどこに映画としてのスタンスが位置づけられているかを見るようにしている。
 『峠』の場合、幕府側への思い入れを強く感じた。慶喜らは思慮分別ある人間で、対する薩長土の連中は横暴で横柄、という設定。
 原作未読だが、司馬遼太郎はそういう書き方はしていないのではないか、という気もする。

河井が互いの調停を目指した以上、もう少し思想的に中立な映画にしても良かったのではないか。少し一方的過ぎた。


その他
・薩長側の軍の服装が、いわゆる戦争映画の兵士っぽかった。考証的にこれが正しい?

best ONE shot
ラスト、太陽と鳥。ここはとても美しく、燃えるようでいて儚い。
・これを死の暗喩にしているのも、個人的に好き。死に姿を見せないことで、河井の強さを薄めずに済む。


松竹
監督、脚本 小泉堯史
音楽 加古隆
殺陣 久世浩
Ya映画鑑賞

Ya映画鑑賞