そう

峠 最後のサムライのそうのネタバレレビュー・内容・結末

峠 最後のサムライ(2020年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

名優を贅沢に使ってます。
東出が冒頭物語を引っ張っていて、慶喜が主役か?と思うくらい長尺で面白かったです。

前半は脚本的にとりわけ面白いところもなく、役者に頼りすぎじゃないかと思いましたが、芸者遊びに奥さん呼ぶシーンは時代劇で今まで見たことない画で楽しめました笑
自分を火葬するための火を従者に焚かせるところも新鮮でした。

烏の絵、蝋燭の火を凝視する継之助、太陽に向かって飛ぶ烏、火葬用の炎を凝視する継之助が最終的に観客の頭の中で繋がってくる。映画だなあと思いました。

「愛するとはお互いの顔を見合うことではなく同じ方向を向いていくこと」

「悟りとは如何なる時も死ねることではなく如何なる時も生きれること」

など響く台詞もありました。
これらは素敵なロケーションの中で発せられます。

時代劇ということもありますが、基本的にはロケ主体で背景を意識して撮っている印象です。越後の風景を継之助の心の風景として映し撮ろうという意図が見えました。

気に入らなかったのは時折挟まれている場面転換。左から右に画がスライドする編集は如何なものかと…。単純にダサいのと、見ているこっちの気持ちが切れてしまう。

あとガトリング砲を掃射するシーンで切り返しがなかったのもあれっ?てなりました。長岡藩目線で西軍が撃たれるカットが見たくなりました。絶対撮ってはいると思うので、なぜ使わなかったのか。

戦争映画にしたくなかったのかもしれませんが、やはり戦闘描写が少なかった。物足りなさを感じました。継之助が戦を避けたかったのであれば、実際に戦になってからの凄惨さをもっと見せるべきではなかったのかと思いました。死後墓石を斬りつけられたエピソードもあるくらいなので領民の恨みを買っていたのは確かでしょうし。

長岡城を奪還したあとにすぐ領民が戻って陽気に祝っていましたが、あんなことあるのかなあと思いました。映画なので完璧に史実に基づいている必要はないと思いますが、戦況がまだ不透明なのにあれはさすがに、、リアリティを感じませんでした。

藩主やその家族の先々のこともあそこまで段取っていたのは知らなかったです。それも家老の仕事の一つなんでしょうが、抑止力を高めるための軍備増強にしても、準備周到な印象を受けました。「すべて段取ってあります」って言えるのは優秀ですね。マネジメントの重要さをわかっている=先が見えているってことなんですよね。かたや岩村精一郎の思慮の無さよ。長州人からも評価低かったらしいですが、お前はいいからもっと上の奴出せって心境だったんだろうなあ。あの談判決裂のあとヤケ酒?した店に昔行ったなあwあれでもうどうにもでもなれって心境になったのだろうと推測。

個人的には松蔵を主人公にした映画があっても良いのではと思います。生い立ちも含めてこの映画で多くは語られていませんが、これだけ壮絶な体験をして戦後も生きていたわけで、それこそ歴史の証人でしょう。
そう

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